コーヒーをめぐる冒険というドイツ映画を見た。
モノクロの映画であったので、カラーに慣れている身としては見にくいのかな、と思ったがそんなことはない。むしろ綺麗にさえ見える。
主人公は無気力な青年、というかモラトリアムから抜け出せていない青年というか、(大学を中退してフラフラしている)そんな男の子である。
だらか余計に白黒で表されている世界観がフィットしたかもしれない。
この世に色がついて見えない、自分がこの世界に合っていないんじゃないか。。そんな風に感じでいるであろう主人公目線に立つことができる。
大雑把なあらすじとしては
(極力ネタバレをしないつもりであるが、一部内容含む)
大学を中退してフラフラしている主人公ニコ。
コーヒーを買おうとするといつも失敗。(このコーヒー登場の有無が主人公ニコの心境を表しているのかもしれない)
恋人、友人、学生時代の知り合い、アパートの上の階の人、父親、色々な人と関わるけれど、何となくうまくいかない。行動に積極的になれない。小さなアクシデントに巻き込まれる。
不運、というほどでもないが、主人公の無気力さを結果的に際立たせてしまう出来事。
そしてそれらの出来事に出会っても悲劇のヒロインの如く悲観的になることもなく、またこれか。と、淡々にその出来事をやり過ごしてしまう。この世界には自分は適合していない。と諦め、悩んでいるのが伝わる。
そんな時、バーで出会った戦争時代を生き抜いた老人の話を聞いてようやく目が覚める、、
といった具合。んん、ネタバレをしない程度のあらすじを書くのはなかなか難しい。
周りの人との温度差についていけないというか、他の人みたいに真っ直ぐに進むことができない。時折そういう感情を抱く。ただ、そのような気持ちが向上心に繋がるという訳でもなく、ただ淡々と日常を過ごすのであるが。。
何となく、人間の、特に若い人にありがちな、そういった感情を切り取って表現した作品だったように感じた。作品に見入る、というよりどこか自分を見ているような気持ちで作品に浸かっていた。
モノクロ、美しい顔の主人公、落ち着いたサウンドトラック(A Coffee in Belrin)。
この映画を見たからといって、何かとてもエナジェティックになる訳でもないし、希望に満ち足りる訳でもないのだが、自分の中でお気に入り映画の上位に食い込むかもしれない。
ドイツについて、戦争について、もう一度勉強し直して再度観るとより理解が深まる部分もあるだろう。
うまく文章で表現できないのがもどかしい。
映画や本のレビューを行なっている人はいかにして行なっているのだろう。