内容が衝撃的であること、一方極めて読みやすい文体であることからして2日で読んでしまった。
全編がかなり短編で構成されており、5ページくらいで一種のテーマが提示された物語となっている。
題名にある通り悪童(双子の少年)が書いた日記風として本が構成されている。
それぞれ戦時中の悲惨な様子や、その時当たり前だった悲惨な風潮が描かれている。悲惨であるがただ虎視眈々とその事実が描かれる。少年目線での描写であるのにも関わらず、感情描写は一切含まれないため、感情移入によるダメージは少ない。
ただ、日本はまだ恵まれていたんだな、と思わざるを得ない状況が繰り広げられていく。
昔のヨーロッパ文学を読むとわかるのだが、昔のヨーロッパでは女性や子供に対する扱いはかなり不当だ。戦時中であるからしてそれはもっと不当なものとなる。そう言った事実がありありと物語として描かれているのだが、
この物語の中では登場人物の名前も、土地も、どの戦争かも明確に記されていない。
解説にそれぞれどれが想定されるから記載があるため、気になった人は読んでみてほしい。
とにかく、内容としても興味深く面白い本であった。
また、本の構成として、(一貫して同じ話ではあるのだが、)
全編が短編であり寸劇調になっている構成が面白い。ストーリーを追うのは難しくないし、章の名前とそれぞれの起承転結が繰り返されるだけだ。こういう文学的手法は面白いと思う。